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「1Q84」の構成とバッハの関係など [オーケストラ]

5連休の自由時間の半分以上を使って、村上春樹さんの「1Q84」全3巻を読み切りました。ここ数年、小説と言われるものは全く読まなかった(読めなかった)のですが、なぜかリビングに転がっているのを手にして少し読んだら、はまってしまいました。BOOK1とBOOK2併せて200万部を発行部数は超え、BOOK3も4月16日に発売されてから2週間で40万部という大ベストセラーです。時流に乗るのは嫌いなのですが、今回ばかりは連休の過ごし方として良かったと思うことにしています。

さて、この小説の中でヤナーチェクのシンフォニエッタがたびたび登場するのは前に書いたとおりですが、小説の構成について、興味深いことがあります。BOOK1とBOOK2はそれぞれ全24章からなり 、主人公である青豆と天吾の物語が交互に繰り返されます。この24章が、バッハの平均律クラヴィア曲集の構成を意識したことが村上春樹さんへのインタビューで明らかになっています。バッハの平均律クラヴィア曲集は2巻あり、それぞれが24曲からなり、長調と短調の前奏曲とフーガが交互に現れます。まさにBOOK1とBOOK2の構成とぴったりです。

出たばかりのBOOK3の構成はBOOK1とBOOK2とは異なり、全31章がからなり、青豆と天吾に加えて牛河という男の3人の物語が順番に展開され、最後の1章だけは青豆と天吾が一緒になった物語となって終結します(実際は2人は27章で20年ぶりの再会を遂げるわけですが)。

なぜBOOK3が31章からなり、3人の物語ではならなかったのか? 何かの音楽と関係あると直感しましたが、自分では思い当たらないので、ネットで誰か書いていないか調べました。その結果有力な説が・・・。バッハのゴルドベルク変奏曲の構成が原型ではないかという説です。この曲は主題となるアリアが最初と最後に配置され、30の変奏が展開されます。そしてもう1つの特徴は、3曲ごとにカノンが配置されていることです。つまり3つで1セットです。最初のアリアはBOOK1とBOOK2によって与えられた主題であり、その後3人の物語が織りなす変奏曲、最後にまた主題が戻り青豆と天吾が一つになる・・・。間違いありません。

またこの1Q84自体、全3巻の構成を3楽章の交響曲に例えるならば何だろうか、とも考えました。昨年1Q84のBOOK1とBOOK2が出たとき、BOOK3は出るのかどうか、ということが読者の中で話題になったそうです。自分がBOOK2を読み終えたとき、ここまま終わって欲しくいないと強く感じました。2楽章で終わった未完の交響曲。何があったろう? まず最初に思いつくのはやはりシューベルトの交響曲第7番です。しかしこの曲は2楽章で完璧なまでに完結をしていて、1Q84の読後感とは違います。ボロディンの交響曲第3番、やっぱり違うなあ。次に思いついたのはマーラーの交響曲第10番。いささか強引ですが、第1楽章のアダージョはほぼ完成、第3楽章のプルガトリオ(煉獄)は補筆が必要だったもののほぼ完成されていました。この交響曲の満たされない緊張感、独特の世界観は1Q84と相通ずることがあるのではないか、と思えました。

しかしBOOK3が出版されました。BOOK3は青豆と天吾の再会という形で帰結し、最後に続編を暗示されるような記述があるものの、これで完結しても良いような幸福感に満ちた終わり方をします。では3楽章で未完に終わった交響曲、しかも安らかな終わり方をするものは・・と考えていった場合、ブルックナーの交響曲第9番しか思い当たりません。うん、この曲は3楽章で帰結して全く不自然ではありません。

という全く勝手な妄想でした。

では、まずバッハの平均律クラヴィア曲集第2巻を貼り付けます。聞いていただきたいのはやっぱり伝説のピアニスト、グレン・グールドの演奏ですね。

ゴルドベルク変奏曲変奏曲もやっぱりグールドですね。

ついでにブルックナーの交響曲第9番の一部をラトル指揮ベルリンフィルの演奏でどうぞ。

 

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コメント 7

センニン

Book3 についての考察、なるほどです。
"平均律" は誤訳ですが、この呼び名が定着してしまっているのでやむを得ませんね。実際、一台のピアノで弾き通すには平均率に調律しなければならないわけでしょうが。
"Well Tempered" に近い調律をした演奏を聴いてみると目から鱗ならぬ耳から鱗です。
ところで動画、順序が逆のようです。
by センニン (2010-05-08 10:49) 

Cecilia

他の方も話題にされていて気になる小説ですが、題名だけだとあまり読みたくない感じがします。

by Cecilia (2010-05-08 11:13) 

ながぐつ

センニンさん、コメントありがとうございます。
動画、逆でした。ご指摘ありがとうございます。
"平均律" は誤訳でしたか。そこまで注意深く考えていませんでした。
"Well Tempered" に近い調律をした演奏というのがあるのですね。
今度紹介していただければ幸いです。

by ながぐつ (2010-05-08 21:16) 

ながぐつ

Ceciliaさん、コメントありがとうございます。
Ceciliaさんのブログを見たり、これまで何回かやりとりさせていただいた範囲内での感覚ですが、おっしゃるとおり、1Q84はCeciliaさんはあまり好まれないのではないかと思います。ベストセラーになる小説というのは、やはり大衆受けする部分がありますから・・・
by ながぐつ (2010-05-08 21:20) 

yablinsky

私は読んでいませんが、これほど音楽と関係している小説だったのですね。しかし、ながぐつさんの推論はおもしろいです。完全に信じてしましました。
by yablinsky (2010-05-08 23:41) 

ながぐつ

yablinskyさん、コメントありがとうございます。
はい、小説の中でも、ヤナーチェクのシンフォニエッタはもちろん、バルトークの管弦楽のための協奏曲とかクラシック音楽、あとジャズが頻繁に登場します。すごい知識だなあと感心しました。
推論は全くの妄想です。もしBOOK4が出たら、また考えることでしょう。
by ながぐつ (2010-05-09 04:49) 

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